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MEDTEC 医療機器誌 2017 年春/夏号

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44 | 2017 年春/夏号 Medtec医療機器 medtecjapan.com TECHNOLOGY UPDATE 特集記事 最新技術情報 AIによる糖尿病管理システム 新しい人工知能プラットフォーム上に 構築された糖尿病管理システムは、糖尿 病患者の血糖管理により低侵襲でより個 人化されたソリューションを提供できるこ とを証明した。 メドトロニックが2015年に買収した、 オランダにある糖尿病外来診療所および 研究センター、Diabeterは、糖尿病管理 において世界で最高の成果(outcome) を常に達成していることで知られている が、新しい人工知能を基盤としたシステ ムはこの診療所の成 果をさらに向上す る可能性を秘めている。これは、Aspire Ventures社の投資先企業であるTempo Health LLCによって開発されたRhythm システムを試験したDiabeterの医師らに よる観察研究から導かれた結論である。 クローズドループのRhythmシステム はAspire社の適応型人工知能プラット フォーム、A 2 Iを基盤として構築されてい る。Diabeterは2月、フランスのパリで開 催された年1度の国際糖尿病先端技術治 療会議でこれらの結果を発表した。診療 所は、糖尿病患者の生活を向上する可能 性がある多くの技術的研究に参加してい ると述べている。 A 2 Iプラットフォームを通じてTempo 社は、糖尿病患者の血糖値の予測およ び管理のために、非侵襲性生体測定セ ンサー(ステッカー)と人工知能のみに基 づいたRhythmを開発した。観察研究に 参加した8人の患者のそれぞれに適合さ せた個人血糖予測モデルを利用して、 研究者らは、経験豊富な専門医および患 者作動型遠隔モニタリングを使用した糖 尿病チームによる能動的な管制塔モニ タリングによって達成された実際の結果 と比較して、8人の患者のうち7人におい て、Rhythmシステム単独で正常値の時 間が20%増加、低血糖の時間が9%減少 することを発見した。 A 2 Iは自己最適化に数多くのアルゴリズ ムを使用する。この技術は、テキストから 動画、生体情報まであらゆる種類のデー タを使用し、分析要素のライブラリを利用 して、複数のアルゴリズムから要素を集 め、最適化し、組み合わせて可能な限り 最適な適応アルゴリズムを構築するよう に設計されている。 チーフデータサイエンス兼イノベー ション担当部長のMike Monteiro氏 は、Qmedに対し、Rhythmシステムは人 工膵臓として分類できるが、このシステ ムがどのように他の人工膵臓と異なるか を説明した。他の人工膵臓システムは、 体温計のような作用をするように設計さ れているが、「私たちは巣(nest)を作っ ているのです」とMonteiro氏はいう。 「すべての患者が同じ予測アルゴリズ ムを使用しているわけではありません」と 同氏は続ける。「私たちは各患者の生体 情報に対してカスタマイズされた、個人に 最適なアルゴリズムを自動的に選択して います」。 つまり、Rhythmシステムは、A 2 Iプラッ トフォームを使用し、患者のバイオリズム を参照し、その挙動パターンを学習して、 患者の血糖がどうあるべきか、血糖値を 理想的な範囲内に維持するために患者 が何をすべきかを判断するように設計さ れているのだ。 D i a b e t e rの小児内 分泌学者である Dick Mul氏は、試験結果が有望であり、 世界中の人々の糖尿病治療を改善する可 能性について前向きな展望を与えてくれ たという。「この試験結果から得たよいニ ュースは、正常範囲内にある時間の増加 と低血糖時間の減少の両方が達成でき たことです」とMul氏は語る。「これは追 加の、あるいは侵襲的な連続血糖値測定 装置を直接必要とすることなく達成するこ とができ、医師による手動の遠隔モニタ リングの必要性を減少することに役立つ 可能性があります。現在すべての患者が 最先端のセンサ付きインスリンポンプを 使用できるようにはなっていないため、こ れは重要なことです」。 Monteiro氏は、Diabeterの医師らが非 常に肯定的にシステムを受け入れたこと に驚いたという。専門医からはもっと抵抗 されたり、「このシステムが自分よりうまく キれるはずがない」という心理が働いたり するのではないかと予想していた。 「ほぼすべての医師が、最終的には、 患者にとっての成果を重視しているので す」とMonteiro氏はいう。また、研究に参 加した医師たちからは、患者にとってより よい成果を達成できるようにするための すべてのデータ処理を自分たちで行う必 要がなくなったことにほっとしていると言 われたと付け加えた。 「医師は医師なのです」と彼はいう。「 彼らはデータ処理機ではありません」。 Rhythmシステムのような技術を使用 することで、医師たちはより多くの時間を 患者のケアに割き、データ分析に費キす 時間を減少できるようになる。 Monteiro氏は、より大規模な臨床試験 とFDAの承認を目指すことが次のステッ プだという。規制プロセスをより迅速に通 過するためにシステムの機能をいくつか の異なる部分に分ける計画であるが、並 行してシステム全体の承認も目指してい くという。 Aspire Ventures社の適応型人工知能プラットフォームA 2 Iと欧州トップの糖尿病専門医が観察研究で対決し、A 2 Iが勝利した。 By:Amanda Pedersen(編集部注:Qmed.com 2017年2月17日初出)

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