JMD&MT MEDTEC医療機器誌

MEDTEC 医療機器誌 2014 年秋/冬号

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TECHNOLOGY UPDATE 38 | 2014 年秋/冬号 MEDTEC医療機器 medtecjapan.com 脳卒中による運動障害からの回復メカニズム 理化学研究所と国立循環器病研究セ ンターは、脳卒中発症後の運動障害から 脳神経回路が回復するメカニズムを解明 した。 脳卒中は、急性の脳梗塞や脳内出血な どの脳血管障害による疾患を指し、言語 障害、運動障害、感覚まひなど、多様な 神経症状を伴う。なかでも運動障害はリ ハビリテーションによってある程度回復す るものの、詳細な回復メカニズムは分か っていなかった。 共同研究グループは、脳卒中患者が発 症後3カ月間のリハビリテーションを行う 過程の、運動機能と脳内の「神経線維連 絡性」を時間を追って観察。 その結果、運動機能が3カ月間かけて 回復する過程で、障害がある側の大脳皮 質から脊髄へとつながる神経線維連絡路 (錐体路)で神経線維の変性が徐々に進 む一方、それを補うように脳の中心付近 深部にある赤核(せきかく)で神経線維の 再構築が進むことが明らかとなった。 これは、赤核における神経線維の再構 築が、運動機能の回復と関係しているこ とを示唆している。今後、神経線維の再 構築を促進させる新しい治療法の開発 や、リハビリテーション法そのものの最適 化につながると期待できる。 赤核は進化的に古い脳部位で両生類、 爬虫(はちゅう)類、鳥類などの動物で前・ 後肢の運動制御を行うと考えられてい る。過去の動物実験においても錐体路障 害後の運動機能回復に赤核から脊髄へ の連絡路が関わっていることが分かって いた。しかし系統的に進化した動物では 赤核は退化していると考えられ、ヒト脳で の赤核の機能的意義も十分に分かってい ない。 今回の結果は、このように進化的に古 い脳部位が、脳損傷後のリハビリテーショ ンにより活性化され運動障害の回復に寄 与する可能性を示唆し、これまでの見方 に修正を迫るもの。今後、脳卒中の運動 障害からの回復に際して、赤核から脊髄 系を含む神経経路の再構築・強化を組み 合わせた新しい治療法の開発や、リハビ リテーション法そのものの最適化の可能 性が考えられる。 また、今回の発見を可能にした拡散テ ンソルMRI画像法は、運動障害の回復に 関わる脳神経回路の可視化に非常に有 用であることが実証された。 今後の技術開発により一般病院のMRI 装置でもこの方法が可能になれば、脳卒 中患者の予後を正確に診断する技術とし て臨床応用が進むと期待できる。 本研究は、理研ライフサイエンス技術 基盤研究センター機能構築イメージング ユニットの林拓也ユニットリーダーと京都 大学医学研究科附属脳機能総合研究セ ンターの武信洋平研究員、国立循環器病 研究センター脳神経内科の長束一行部長 らによる共同研究グループの成果。 ロボット人工関節を高度化するシンクロ化  アルゴリズム 米ジョージア工科大学のGil Weinberg 教授が、事故などで切断された腕の先に 装着するだけで、自由自在にドラムを叩け るサイボーグ義手を開発した。義手には モーター駆動のドラムスティックが2本つ いており、1本目のスティックは、演奏者の 腕の動きと、筋肉の電気信号を読み取る EMGセンサを使って、演奏者自身がコン トロールするもの。 2本目のスティックは、独自のコンピュー タアルゴリズムを使っており、演奏されて いる音楽をその場で聴き取って、即興で ドラミングを行なうもの。 本サイボーグ義手を装着することで、 感電事故で右腕の肘から下を失ったドラ マーが、再びドラム演奏ができるようにな ったという。 今回サイボーグ義手の開発に成功した Weinberg 教授は、今後は、「ドラマーの 筋電信号や脳波からの機械学習を利用す ることより、左右の腕の動きをシンクロナ イズしたい」と語る。 本技術を応用することで、将来的には 正確な動作タイミングを要求される作業 時に「第三の腕」として装着できるロボッ トアームが実現する可能性があると同教 授は言う。 シンクロ化アルゴリズムは、外科医がロ ボット器具などと協調して複雑な作業を おこなう際の手助けになると期待される。 Robotic Prosthesis Turns Drummer into a Three‑Armed Cyborg

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