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MEDTEC 医療機器誌 2014 年秋/冬号

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TECHNOLOGY UPDATE MEDTEC Medical Device Magazine Japan 2014 年秋/冬号 | 37 高い抗菌性能を実現する抗菌コート技術 富士フイルム株式会社は、従来の銀系 抗菌剤を使った抗菌コートと比べて、約 100倍の抗菌性能を実現する抗菌コート 技術「HYDRO AG(ハイドロ エージ ー)」を開発した。 本技術を用いた製品として、医療機関 などで用いられる、タッチパネルを搭載し た機器向けの抗菌液晶保護フィルムの発 売を予定している。 今後、本技術を様々な製品に応用展開 することを検討していく。 近年、高齢者やがん患者など免疫力 が低下し、感染リスクが高くなっている患 者の増加や、新たな多剤耐性菌の出現 などで、院内感染のリスクは年々高まって おり、政府が2010年、2012年の診療 報酬改訂で「感染防止対策加算」を増額 するなど、その対策が急務になっている。 医療現場では、タッチパネルを搭載し た医療機器やタブレット端末などのスマ ートデバイスが多く活用され、年率4割 増で普及が進んでいるが、これらのデバ イスに関しては、タッチパネルに付着した 細菌が繁殖し、院内感染の原因となるリ スクが指摘されている。 今回、富士フイルムが開発した抗菌コ ート技術「HYDRO AG」は、銀系抗菌 剤(銀イオンを徐々に放出する機能を持っ たセラミック微粒子)を分散した、水とな じみやすい超親水性の樹脂(以下、バイ ンダー)を塗布する技術。 本技術は、同社が写真フィルムで培っ た銀に関する知見および精密塗布の技術 と、グループ企業である富山化学工業の 抗菌性能の評価技術を生かして開発した もの。 一般的に、銀系抗菌剤を使った抗菌コ ートでは、抗菌剤に空気中の水分などが 作用して銀イオンが溶出される。 この銀イオンは、細菌の細胞表面にあ る酵素と結合し、細菌を不活化する。 よって、塗布膜表面の銀イオン濃度を 高めることで、細菌の増殖を抑制する性 能を向上させることができるという。 従来の銀系抗菌コートには、水となじ みにくい非親水バインダーが用いられて おり、塗布膜表面に露出した銀系抗菌剤 に水分が作用した場合にのみ銀イオンが 溶出され、細菌の増殖を抑制していた。 しかし、塗布膜表面にある抗菌剤の銀 イオンは、抗菌作用を発揮するのに伴い 消費される。 また、塗布膜表面に何かが接触するこ とで抗菌剤自体が物理的に脱落し、その 抗菌効果は次第に失われてしまう。 これに対し、本製品は、水と非常にな じみやすい超親水性バインダーの中に銀 系抗菌剤を分散しているため、塗布膜表 面だけでなく、塗布膜内部の抗菌剤にも 水分が作用して、塗布膜内部からも銀イ オンを供給するという。 これにより、塗布膜表面の銀イオン濃 度が高くなり、従来にない高い抗菌性能 を発揮し、その効果が長期間持続するこ とが期待できる。 細胞に新機能を付与する新しい研究ツール ジョンズホプキンス大学の井上尊生准 教授、東京大学大学院薬学系研究科の 小松徹特任助教らキ、薬によって細胞同 士の相互作用を制御する新たな仕組み を確立した。 これにより、本来ほかの細胞を「食べ る」能力を持たない細胞にこの機能を付 与できることを明らかにした。 貪食(どんしょく)細胞と呼ばれる細胞 キ、体内に侵入した異物や死細胞を「食 べる」能力を持ち、生体防御機構の一翼 を担っている。 貪食細胞だけが持つ、この「食べる」機 能キ「ファゴサイトーシス」と呼ばれ、ファ ゴサイトーシス開始の鍵キ、食べるべき 対象に、細胞の表面にある各種分子を使 って接着することで、これまでに接着分 子がいくつか特定されている。 JST戦略的創造研究推進事業の一環 として、井上准教授らキ、どの分子を発現 させた時にファゴサイトーシスが起こるの かを確かめるためのツールとして、画期 的な「DISplay(ディスプレイ)」法を開発 した。 本手法でキ、従来法でキ困難だった、 分単位での細胞表面の発現分子の制御 が可能という。 さらにこの手法を用いることで、ファゴ サイトーシス活性が低い細胞にも「食べ」 させることができると分かったという。 本研究手法キ、ファゴサイトーシスの分 子機構を解明できるだけでなく、細胞同 士の相互作用が鍵となるさまざまな生命 現象の理解における重要な方法論を提 唱するもの。 本研究成果キ、2014年7月15日(米国 東部時間)発行の米国科学誌「Science Signaling」に掲載された。

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